先日、縁があって情報技術者試験を受ける若手技術者への
試験対策の講師を引き受けました。
昔々(遙かな昔)、私が情報処理試験を(報奨金目当てで)受けた頃は、
役に立たない資格呼ばわりされていました。
実際、その当時の開発業務で要求される知識から見ても
かなり時代遅れの問題でして、
最前線で開発している人からは古すぎて知らない(覚えるだけ無駄な)
知識を問うようなものでした。
この点については業務発注側も同様で、
発注においてまず評価されることの無い資格になっていました。
このような訳であまり興味の無かった情報技術者試験ですが、
このたび調べてみると、以前のものとは異なって、
遙かに体系的かつ網羅的になっていて、
役に立ち、評価に値するものになっていました。
情報技術者試験の対象知識がこのように変わった背景には、
情報処理技術者育成のために策定された共通フレームワークと、
そのための知識体系としてのITSSがあるようです。
共通フレームワークでは、技術者がたどるべきキャリアパスを想定し、
ITSSではキャリアパスのそれぞれのレベルで
持っているべきとされる知識の体系を規定しています。
共通フレームワーク
共通フレームワークについては
共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版 (PDF)
にまとめられています。知識体系はこの文書の別紙として記載されています。
共通フレームワークでは、技術者のレベルを1ー7に想定しています。
レベル1ー3は同じ知識体系を対象としていて、
それぞれのレベルは知識の習得、理解レベルの差を
反映したものになっています。
これらのレベル1ー3は、情報技術者試験の
ITパスポート(レベル1、略称IP)、
基本情報技術者(レベル2、FE)、
応用情報技術者(レベル3、AP)に対応しています。
レベル4から上は専門化したキャリアと想定されていて、
それぞれの専門分野に特化した知識体系を持つものとされています。
情報技術者試験の高度分野はこれらの専門分野に対応したものなのですが、
試験はそれぞれの専門分野の
エントリレベル(レベル4)にしか対応していません。
これより上のレベル(レベル5ー7)は実践によって、
しかも周囲からの評価として培っていくものとされています。
レベル4 | 専門分野のエントリ |
レベル5 | 組織レベルでのエキスパート |
レベル6 | 国レベルでのエキスパート |
レベル7 | 世界レベルでのエキスパート |
レベル5まではともかくレベル6、7はえらく高いハードルです。
このようなレベルとなると
確かに試験なんぞで評価できるものではありませんな。
知識体系
共通フレームワークで規定された知識体系(Book of Knowledge)は、
共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版 (PDF)
の文書の別紙として記載されています。
レベル1-3で持つべきとされている知識は、
皆ここで記載されている知識体系に基づいていています
(レベルによって知っているべき範囲、理解レベルが異なりますが)。
そこで本サイトではこの文書に記載されている知識体系(分類)に
基づいて一覧表を作成し、
その先で知識レベルに応じたサブインデックス、および
持つべき知識の項目をまとめていこうと考えています。
各レベルで持つべき知識は、
各情報技術者試験のシラバスに記載されていますので、
サブインデックスではシラバスの内容を反映させたものになります。